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「おじさんはカワイイものがお好き。」

0時20分くらいだったろうか。深夜帯に差しかかる頃、僕はポチりとテレビをつけた。
どうやらドラマかなんかがやっている。近年放送され出した深夜枠というやつだろう。

だが今はちょっと興味がない、おれはバラエティがみたいのだ。
それにすでにそのドラマは始まってしまっている。番組表を見ればどうやら初回放送のようだが、中途半端にみるのはごめんだ。そもそも見る気がない。
それになんだか絵面も地味だ。
さてチャンネルを変えようか、と思った時

「おれのパグ太郎!」

という声が聞こえてきた。なんだそれはと思い画面に注意を向けてみると、おっさんがゆるキャラ系のぬいぐるみを愛でて「可愛いなあ」を連呼している。
なんだこれ? である。

そうなると気になってしまうもので、チャンネルを変えるために持っていたリモコンを構えたまま、少しだけ観入ってしまう。

どうやら眞島秀和扮するおじさんが、このドラマの主人公らしい。
見ているとこのおじさん、若い部下から「おじ課長」と呼ばれている。
ああ苗字が「小路」でおじさんであることとかけている設定ね、などと鼻で笑いながら僕は構えていたリモコンを机に置いた。
おそらくこの時すでにハマっていたのだ。

あらすじ

小路さんは自分が可愛いもの好きのおじさんであるということを、隠しに隠して生きている。
部下からはイケオジと認識され、仕事面でも人格面でも尊敬され憧れられている。
憧れられているのだが人には言えない秘密、つまり前述した「可愛いもの好き」という秘密をもっている。
という感じ。
そしてこの小路、秘密は徹底的に隠すことに決めているのだが、心のどこかで同じ秘密を共有できる同士に出会えたらと夢見ている。
でその相手がイカツイ系イケメン、今井翼扮する河合ケンタであり、二人はある日偶然出会うのだが……、というストーリー。

まあ一見ストーリーだけみれば、「恋愛要素」を「人に言えない趣味」に置き換えた「おっさんずラブ」といえなくもない。
おっさんずラブは、馬鹿笑いし、時には切なく泣きながら、おっさん達の悲哀を眺める作品だったが、この「おじさんはカワイイものがお好き。」は少し違う。
それは誰にでも共感できるという点だろう。

人に言えない秘密を持つものなどいるだろうか?
僕にもある。あなたにもいくつもあるだろう。
これがバレるなら死んだ方がマシ、というものがない人間は中々いないものだと思う。
「おじさんはカワイイものがお好き。」はそれを見事に表現しており、観るものを引き込んでいく。
実際途中から見始めた僕が、ほぼ一瞬でこのドラマにのめり込み、ブログにまで書いているのだ。

登場人物は全然知らない俳優ばかり。だがそれがよい。

このドラマ、僕の知識が乏しいせいか、全然知らない俳優ばかりでている。
眞島秀和と今井翼意外は、マジで知らない。
だがそれがいい。
バラエティにもよく出ているタレントや俳優を見ると、お遊戯会を見ている気分になってしまうのだ。
露出を増やすことは確かに人気を伸ばすことに有効だ。しかし、作品の魅力を損なうことにもなっているようにも思う。
俳優さんは番宣でバラエティに嫌々でなくてはならないのだろうが、一切出ないという時代に戻った方が作品の満足度もあがるように最近は思う。

とはいえこのドラマの脇を固める俳優達は、別にバラエティに意識して出てないというわけではないとは思うが、とにかくよい。
先入観なくその世界の変わった人たちとして楽しめる。
それは「カメラを止めるな」の魅力にも通ずるところがあると思う。

なんの派手さもなく淡々と進むこのドラマ、僕はすっかりその虜になってしまった。
もちろんTverで見逃していた部分を補完して、そのままもう一度最後までみた。

これから

どうやら調べてみるとこのドラマ、全5話予定と少し短い。
ちょっと残念な気がするのだが、ずるずる長引かせることなくコンパクトにまとまるならそれはそれでいいのかもしれない。
これからしばらくは木曜深夜が楽しみである。
見逃してしまった人は是非何かで観てみてほしい。
パグ太郎グッズが欲しくなること間違いない。

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