
目次
結論=はじめるなら今
僕は15歳の時からギターを弾いていて、今ではギターでご飯を食べれるようになった。
そして数年前まではギターの講師もやっていて、男女年齢問わず様々な生徒さんを指導してきた。
そんな中で多くの人が口を揃えて言ったのが、
「こんなに楽しいと知っていたら、もっと早く習っておけばよかった」
だった。
仕事や家庭の事情以外でやめてしまう人は、ほぼいなかったと記憶している。
今、迷っている方がいるなら、なにかアドバイスできればなと思う。
やりたいのにやらない理由 その1
「自分には音楽の才能がないから……」

迷っている人が必ず言うのが、
「自分には音楽の才能がないから……」
である。でも心配しなくていい。
そんなものは全員無い。
これはあなたを安心させるために言っているのではない。音楽の才能などほぼ全ての人間が持ち合わせていない。
だのにギターが上手い人はいっぱいいる。
そもそも音楽の才能ってなんだろう?
音感がいいことだろうか? 楽譜が読めることだろうか? 素晴らしい曲が書けることだろうか?
ご心配なく。ギターに限らず他の楽器でもそんなものは必要ない。
必要のないものなのに、無い無いと言って諦める理由にするのは本当にもったいない。
羽がないからパイロットにならないと言ってる人がいたら、あなたは首を傾げないだろうか?
やりたいのにやらない理由 その2
「自分は手が小さいから……」

「自分は手が小さいから……」
これは才能が無いとセットで聞く、お決まりのフレーズだ。
だがこれも心配ない。
手の大きい小さいは、あまりギターの上達に関係がない。
手が大きい人でも、そして手の力が僕の倍はあるようなマッチョマンでも、最初は指が届かないし押さえる力も弱い。
そして僕の手はとても小さい。手を合わせ比べてみれば、大体標準の女の子の手と同じ大きさだ。
でもプロにはなれる。
将来的にとんでもなく難しいコードを抑えたくなった時に物理的に不可能なことは確かにある。
だが「このとんでもなく難しいコードが弾けない、ちくしょう!」と泣いている時、あなたのウデマエはすでに相当の高みにいるはずだ。
4回転半が飛べないと泣いているアマチュアフィギュアスケーターがいたら、4回転で充分じゃね?と思うだろう。
やりたいのにやらない理由 その3
「今さら始めても……」

今さら始めても、どうせ昔からやってる人にはかなわない。
こう言う人もとても多い。
だがそもそもギター含め楽器は、何かを競い合う競技ではない。
このコードが弾けたら何百点、みたいなスコアがあるならそれも分かるが、他の人のことなんか気にする必要はないのである。
そしてある程度上手くなってくると、人と比べてどちらが上手いかなどは、あまり気にならなくなってくる。
テクニックよりも個性が大事と気づくのだ。
カレーとラーメンを比べて、どちらが旨いといってもしかたがないだろう。
やりたいのにやらない理由 その4 「ギターって高くない?」

ギターは高い、というイメージがあるが、実際はどうだろう?
今の時代、実は新品でも安いものが本当に多い。もちろん中古ならなおさら安い。
1万円以下でも充分使えるものが沢山ある。
バカ高いのはプロ用で、プロ用は楽器に限らずなんでも高い。
勿論最初から覚悟を決めて高級な楽器を買うのもありだ。
だが値段がネックになっているのなら、安価な楽器から始めるのも全然ありである。
ちなみに僕が最初に手にしたギターは¥3000円の粗悪品だった。
それでもギターは上達する。
プロの料理人が幼い頃最初に手にした包丁も、きっと家庭用のナマクラだったはずなのだ。
やりたいのにやらない理由 その5 「なにから始めればいいかわからない」

これに関してはもう、講師について習ってしまった方がいい。
最大の理由は、変なクセが付かないようにだ。
個性といってしまえば聞こえはいいが、結局矯正するハメになるだろう。
そして時間がもったいない。今ではオンラインで教えてくれるスクールもたくさんある。
ネット環境があってギターがあれば、すぐにでもプロの講師に教えてもらえるのだ。
時間を買っていると思えば、そんなに高い買い物ではない。
あなたの中に培った技術は、半永久的に失われることはないのだから。
やりたいのにやらない理由 その6 「上手くなれる気がしない」

はっきり言おう、なれます。
あなたは絶対に上手くなれる。
楽器を弾けるようになるということは、結局は指先の技術の上達である。
ほとんどの人が右利きだろう。
であれば右手で無意識のうちにできている行動を、自分の左手とで比べてみればいい。
箸を持つ、歯を磨く、文字を書く、ハサミを使う、それらの行動は左手と比べれば圧倒的に上手いはずだ。
その差こそ、あなたが指先の技術を向上させることができる人間だという証拠である。
利き手であるという以上に、これまでの人生で無意識のうちに鍛錬を重ねてきたが故に達者なのだ。
器用な人は確かにいる。
普通の人なら半年かかって弾けるようになるものを、1ヶ月くらいで弾いてしまう人も確かにいた。
ではその器用な人は、ずっと6倍のスピードで成長していくのだろうか?
答えはノーだ。
スタートダッシュが早いだけで2年後にはその差は埋まっている。
長い目で見れば、最初の数ヶ月の優劣などどうでもいいことなのだ。
もう一度言う。
楽器は絶対に上手くなれる。
上達しない人間などいない。
疑わしければ自分の両手に聞いてみればいい。
やりたいのにやらない理由 その7 「でもそういう人に限って昔からうまかったんでしょ?」

僕も昔は下手だった。
今となってはそう言っても信じてもらえないほどに、僕はギターがそこそこ弾ける。
一応プロなのだからそう思われるくらいじゃないと困る。
だが、本当に下手くそだった。
「お前は本当に上手くなるのが遅いな。おれもあいつももう弾けるのにお前ときたら……」
同級生というのは残酷なもので、こんなセリフを平気で投げかける。
だが互いに裏も表もない年の頃、嘘偽りない正直な言葉だったともいえるだろう。
事実高校では僕より上手いやつが多すぎて、空きのあったベースを弾いていた。
ベースを下に見ているわけではないし今もプレイするのだが、当時はギターが弾きたくて仕方がなかった。
なのに役割はやりたいわけではないベースだったのだ。
僕のギターレベルは、田舎の高校の仲間内でも標準以下だったことが分かるだろう。
だが、だがである。
プロになったのは僕だけだ。
情熱を注ぎ込めば、自分の体は必ず答えてくれて、夢すら叶うこともある。
やりたいのにやらない理由 「そんなものはもうない」

ギターに限らず何か楽器を始めれば、途端に人生は輝き出す。
僕たちの身の回りには、驚くほど音楽に溢れていることを知覚するからだ。
そしてその曲を弾いてみたいと思うようになる。
そうなると家でテレビを見ていても、街中を歩いていてもワクワクが止まらない。
会社や学校が終わるころ、今から家に帰ってギターの練習ができると考えると、思わず駆け足になってしまうことだろう。
夢中になった自分を想像して、もしも胸が高なったのなら
「始めるなら今」
と大きな声で僕は言いたい。
きっと素晴らしい時間が、あなたを待っている。